散切り頭を叩いてみれば

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山と旅行の見聞録

散切り頭を叩いてみれば

林道との格闘の先に 花咲くニセイカウシュッペ山

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日本三百名山のひとつ、北海道にある大雪山系のニセイカウシュッペ山。

圧倒的に惹かれる響き、つい声に出して言いたくなる名前。

俄然登山意欲をかき立てられる。

7月下旬、そんなニセイカウシュッペ山に初めて登った。

 

仰々しい名前から、非常に行程が長く難易度が高そうな山だと先入観を持っていたが、実際には往復5時間半という気軽な行程で楽しめる山歩き。

  

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とりあえず、登山口まで向かわなければ始まらない。

 

マイナーな山であれば登山口駐車場が一体どこにあるのか見当もつかないことがたまにあるが、幸いなことにGoogle mapで「ニセイカウシュッペ山登山口」が簡単にヒットした。

 

経路検索を車に設定し、夜明け前から意気揚々と車を走らせる。

Googleに指定された経路で向かう傍ら、「Goole mapでの登山口の場所が違う」との口コミが一つあったのが気にかかったが、まあ恐らく大丈夫だろうと自分に言い聞かせ、Googleの指示を信じ旭川紋別自動車道へ。

 

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上川層雲峡IC出口を降り、Googleに言われるがまま道を進むが、なにか嫌な予感がする。

そのまま指示通り進むと最終的に土木業者の作業場のような所に到着し、車はその先に進めなくなった。


ここで道間違えが確信に変わり、心底Googleに落胆。

切り替えてネットで情報を読み漁る。

 

どうも実際の場所はGoogle mapの指定で間違いないようだが、だがしかしGoogleで指示される道では登山口に行けないことがここで分かった。

 

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道を引き返し、軌道修正を図る。

 

肝は上川層雲峡を降りて東に向かうと出てくるこの看板。

この看板のある上川町日東の交差点をGoole mapでは直進と指示してくるが、どうやら左折が正解のようだ。

 

今後はGoole mapを過信するなという、良い教訓になった。

 

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軌道修正後の道をひたすら真っ直ぐ進むと、右手に登山口の看板が出てきた。

 

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無事辿り着けそうだ。 

ただ、進行方向とは逆側に文字が書かれていることから、看板はあれど若干分かりづらい。

 

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国道から林道に入った後は、手厚い程の案内標識。

この道、正式には古川砂金越林道と呼ぶらしい。

 

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林道に入り5分少々で林道ゲートに到着。

事前の情報では、上川中部森林管理所に事前に鍵の開錠番号を聞いておく必要があるということだったが、どうも様子が違う。

 

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いつの間にか、鍵管理はなくなっていた。

もちろん開いたゲートは、通過後に閉める。

 

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粘土質の路面で、北海道の林道への耐性がない自分にとっては相当の悪路。

水捌けが悪く、所々ガタッといく場所があった。

 

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後、なにより林道が長い。

未舗装路になってから、恐らく12キkm程度は奥に進んだと思う。

 

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たまに待避場所はあるが、そこを除いて離合は難しいと思って良い。

 

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まだ崖に面していないだけ救われるが、このような見通しが悪い道は本当に嫌いだ。

 

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肝を冷やしながら進むこと数十分、やっとこさ登山口の駐車場に到着した。

登山を前にして、既にやや疲労困憊気味。

 

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登山口は駐車場の目の前。

ここから山頂までは、5.5kmとのこと。

 

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登り始めて早々に、ぐちゃぐちゃの登山道。

北海道の山ではお馴染みのようだが、やはり気分が良い足の感触ではない。

 

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ただ、ぬかるんだ地面を除けば、いたって快適な登山道。

傾斜がきつい箇所もなく、まさに初心者向きという感じ。

 

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さらには1km毎に林野庁の看板が立っており、現在どのくらいにいるのか分かりやすい。

 

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看板の状態が悪いのは、玉に瑕だが。

 

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残り4mを過ぎたあたりから、上部の視界が開けてくる。

 

今のところ霧がかっていて、展望はよくない。

尻上がりの天気に期待するしかない。

 

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7月下旬のニセイカウシュッペ山には、登山道脇に高山植物や花がたくさん咲いていた。

 

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種類は正直よく分からない。

これはなんだろうか。

 

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これは、あれだ。あれ。

 

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なんか見たことあるやつ。

 

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これはコバノイチヤクソウか?

 全く知識がないながら、調べてみたが、写真と見比べて一致しているような、していないような。

 

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残り2kmを切ると、さらに景色が開ける。

 

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心なしか少しガスも減ってきた気がする。

 

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登山中で初めて、青空も見えてきた。

そこまでしんどい行程ではなかったが、上向きの天気に俄然やる気が出る。

 

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向かって左側ののっぺりした山塊がニセイカウシュッペ山。

周りには尖った峰に囲まれているため、少し異質。

 

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ここで道中唯一のロープがあったが、正直使わなくても問題ない程度だった。

 

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まさに花が咲き乱れている。

シマノキンバイか?

一面黄色の群生が特に印象的だった。

 

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初夏の花は強い生命力を感じる。

未来に希望いっぱいという感じ。 

 

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ここで見えてはっきり見えてきた、青空。

久しぶりの夏山感。

 

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あと1km。

ここまで小刻みに距離を教えてくれると、間延びしたしんどい区間がなく楽。

休憩も計算しながら取りやすいことも、初心者向きの理由か。

 

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さあ稜線。

見通しの良い尾根道を歩いて小峰を超え、ニセイカウシュッペの山頂へ。

 

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ガスを抜けて青空が見え、さぞ今日は澄み切った景色が広がるかと思いきや、早々雲が巻き返しを図る。 

 

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旭岳擁する表大雪への大展望がこの山の魅力の一つだが、この日は見えそうで見えない。

 

手前に見えるのは大槍という一つのピーク。

 

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そしてもう一つの魅力、アンギラスと呼ばれる尾根上の格好の良い小峰。

こちらも片側から雲が湧き上がり、不穏な雰囲気。

 

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このままでは、ニセイカウシュぺ山頂まで雲に奪回されそう。

 

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ハイマツ帯の道を小走りで、山頂へ急ぐ。

 

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少々水捌けが悪く、水溜り化した道もあり。

 

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最後の傾斜まで、それほどきつくない。

 

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そして、山頂へ到着。

なんとか雲に逃げ勝った。

 

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雲に押しつぶされそうだったものの、辛うじて到着時には展望はあった。

 

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ただ下山時には、あっという間に虚無の世界へ誘われる。

 

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雲に囲まれど、色とりどりの花の様子は変わらない。

 

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色彩が豊かで、ガーデニングに見えてしまうほど。

 

初めての北海道にニセイカウシュッペ山を選ぶ人は殆どいないと思うが、全く素敵な山だった。

 

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標高を下げると、まだ青空が少し残っている。

 

やはり夏山は、巻き上がる雲との戦いだ。

今回はぎりぎり間に合ったものの、早朝の勝負が大事だと再認識した。

 

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どろどろの道が頻繁に出てくれば、登山口が近づいてきた証拠。

 

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初めての北海道は登り3時間、下り2時間のお手軽登山で終えた。

 

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ただ、ここで簡単に終わらないのがニセイカウシュッペ 山。

鬼門は登山中ではなく、登山口までの林道である。

 

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離合は不可能な道を恐々走らせる。

たまに車のパーツらしきものが落ちているのが、さらに地獄道感を醸し出す。

 

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と考えていた矢先、不運なことに対向車が。

 

困った、と悲壮な気持ちが浮かぶや否や、先方の車の方が道を開けようとしてくれた。

 

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と思ったら、目の前で車が落ちた。

 

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下山後、ジンギスカンを食べながら思う。

 

ニセイカウシュッペ山はお手軽な割に展望もよく、山は素晴らしかった。

でも、またさらに林道の運転が怖くなった気がする。