散切り頭を叩いてみれば

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山と旅行の見聞録

散切り頭を叩いてみれば

四国の中心 石鎚山脈の平家平で静かな山歩き

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平家平は愛媛県高知県との間に跨る標高1692mの山であり、西日本一の標高を誇る石鎚山を核心とした石鎚山脈に属する。

実はこの夏、登山雑誌に「平家平と嶺北の山里へ」と評して平家平が紹介されており、初めてこの山の存在を知った。

今回は、人も少なく静かな山行が期待できる平家平を紹介したい。

登山の概要 

 概要は以下のとおり。

登山口は愛媛県側と高知県側があるが、高知県側の高薮登山口から入れば山頂まで約2時間と楽な山歩き。

 

  • 山名:平家平(1692m,四国百名山)・冠山(1732m)
  • 登山口:高薮登山口(高知県いの町高薮)
  • 駐車可能台数:10台程度
  • トイレ:確認できず
  • 行程差:621m
  • 累積標高上り / 下り:948m / 962m
  • 所要時間:登山口→平家平 1:20 / 平家平→冠山 0:50 / 冠山→平家平 0:45 / 平家平→登山口 0:50 / 計  3:45

 

行程 

 

愛媛自動車道西条ICを降り、朝7時過ぎに日本一長い一般トンネル「寒風山トンネル」へ。

そして寒風山トンネルの中で、愛媛県から高知県への県境越え。

 

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登山口に向かうには、トンネルを抜けて国道194号線の「道の駅 木の香」横を通過する。

 

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さらに進むと国道194号線と県道17号線の分岐。

分岐を左に逸れ、県道17号線へ。

 

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県道17号線を進むと間も無く、「本川ハイヤー」という看板の店を通過する。

通過してすぐ、オレンジ色の「高藪」と書かれた看板がある分岐を左に逸れる。

 

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すると軽い山道になった。

脇に落ち葉はあるが、先に集落があるからか道は比較的綺麗だ。

 

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集落を過ぎると、また同様のオレンジの看板が出現した。

左隣に丁寧に平家平の方向を指し示す板もあるので、ここも看板どおりに左へ向かう。

 

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そのまま林道を進む。車同士のすれ違いは難しいが、この道を通るのは集落の住民と登山客くらいだろうし、殆ど車通りはないと思っていいだろう。

また、少しは退避場所もあった。

 

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また分岐点が。ここも案内板があるため、従って右折。

 

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ところどころ舗装路が割れていたりあれているところはあるが、走行には問題ない程度。

 

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登山口に向かうまでの道程の終盤には、車内の段階で展望が開けてきた。

 

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最後の分岐、ここを左にそれると未舗装走路になった。

 

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5分ほど未舗装の砂利道を進むと、登山口に到着する。

 

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区画割りされた駐車場は周囲にはなく、未舗装路の脇や登山口を少し進んだ先に複数台駐車できる広いスペースがある。

 

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ここに車を止めた。

 

山頂まで

登山口へ少し道を引き返し、改めて出発。

登山口の標高は1,100m。

到着は7:40。先着の車はなかった。また、見たところ登山口近くにトイレもない。

 

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初めはいたって普通の登りが続く。

ごく緩やかな葛折りを登り続けるが、平坦な道が出てこないのが少ししんどい。

 

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登山口から20分。

やっと初めて平坦な場所に出た。

ここからは平坦な道と緩やかな上りの繰り返し。

大きな岩場もなく、非常に歩きやすい。全く辛くない。

 

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途中、鉄の橋が設置されている箇所が2つ。

 

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登山口から30分。

この行程唯一の階段が出現。

傾斜が結構あり、一番汗をかいた場所だ。

ここが一番急だったかもしれない。

 

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登山口から35分。

木々には囲まれているものの、視界が開けてきた。

青空が隙間から見え、心が弾む。

 

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景色が開けた。眼下には雲海も見える。

 

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一箇所、登山道の真ん中を太い木が横たわっているが、これを乗り越え少し進むと足谷登山口との合流地点に到着する。

画像の正面左側を進むとそのはずだが、笹が生い茂り、今もなお現役の登山道には見えない。

ここ場所が山頂まで約半分地点。

 

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分岐を過ぎても変わらず木々に囲まれた尾根歩きが続いていたが、やがて高い木がなくなり笹薮へと変化した。この辺りで標高1500m弱。

 

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笹薮を歩き、約100m高度を上げる。

さらに笹は低くなり、最後の50mの登り。

 

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登り切ると、自然環境保護地域の説明看板がある。

三角点はここからすぐ右にあった。

 

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登山口から1時間20分、平家平(1692m)に到着。

登山口の標高1100mから約600mの登り。体感ではそこまでしんどくはなかった印象。

また、確かに平家平という名の通り、山頂というよりは笹が広がる平坦な広場に着いたような感じだ。

 

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奥には西側、石鎚山方面がよく見える。

画像中央左は冠山。

ここ平家平から片道50分の距離のため、散策を兼ねて向かってみることにした。

 

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平家平から冠山までの道は、整備されているとは言えない。

稜線歩きを楽しんだのも束の間、すぐに笹薮が生い茂り、笹漕ぎをしながら歩く。

 

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見渡すと、心持ちうっすらと笹が薄くなっているところがある。

そこが道なのだろうと信じて歩くが、正直足元は全く見えないため、時折足元の岩につまづく。

また、見えない地面の一部がぬかるんで滑る。最近雨など降っていないはずなのに。

 

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いよいよ本当に迷いそうな箇所だけ、赤テープがなされていた。

迷った際は、まず近くにテープがないか探すと良い。

 

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平家平から50分。

笹薮が若干薄くなったその先に、冠山の山頂を示す看板があった。笹漕ぎに時間を取られ、少し時間を要してしまった。

 

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冠山(1729m)登頂。

冠山の山頂は、さほど広くない。

 

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後ろを振り返ると、平家平の特徴ある形がよくわかる。

 

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一方、西の笹ヶ峰方面はというと、一応展望は開けているが、木々が少し下に生い茂っているから、大展望とは言い難い。


...と思っていたが、帰り道に麓で見た看板で、「冠山は山頂を少し下った先に大展望がある」ことを知り、非常に残念な気持ちになった。


平家平から冠山へ向かう場合には、通常山頂で引き返すところだが、次はもう少し足をのばして少し下ってみるのが良さそうだ。

 

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こちらは寒風山や、奥に石鎚山方面。

 

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冠山山頂で小休憩した後、平家平へ引き返す。

 

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また笹薮に襲われること約1時間。平家平まで戻りきり、紅葉が綺麗な東側の山並みを見ながら、やっと麓へ下る。

 

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笹薮を抜けてから、なんとも足取りが軽い。

足元にまとわりつくものがないだけで、これほど歩行が楽になるのかと、思い知らされた。

そういえば、登山開始から今まで1人しかすれ違っていない。
11月の3連休にもかかわらずこれは、運がいいのか通常運転なのか。

 

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登山口から平家平までは1時間だったが、帰りはさらに早い。

紅葉が一番盛りの景色を前に下り始め、あっという間に樹林帯へ戻ってきた。

 

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後は行きに通った行程を再度確認作業するかのように、階段、橋×2、緩やかな葛折り...と、ポイントを通過していく。

  

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登りは感じなかったが、下りは落ち葉でよく滑る。

特に階段のあたりは気をつけて降りる。

 

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そして、約50分で下山完了。午前中の間に車へ戻ってこられた。

 

回顧

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平家平までは道迷いの心配もなく、また1時間程度で展望が開けること、また山頂は高い木々が一切ない大展望が待っていることから、初心者にもお勧めできる山だった。

その一方で、平家平から冠山までの縦走路は思っていた以上に笹薮漕ぎがしんどい。

 

慣れている人にとっては大したことがないのかもしれないが、あまり笹薮に馴染みがない人にとっては(時期によるのかもしれないが)若干ハードルが上がる気がした。

 

ただ、何れにしても良いのは人の少なさ。

登山口への道中、石鎚山方面には多数の車が向かって行った。快晴の3連休初日、恐らく近くの石鎚山は大盛況だろう。

そんな中でもここは、全く他の登山者を感じることなく、青空を独占できる。

静かな山歩きが好きな自分は、必ず再訪するつもりだ。